実験住宅
何故、実験住宅を建てるのか

■地震に強い伝統型木造住宅をめざして
大工塾の木構造の講義は実大の耐力壁の構造実験が中心です。
これまでに100体以上の耐力壁の実験が行われてきました。
そのデータを基に伝統型構法の耐震性能を解析して、地震に強い木造住宅を造りたいと考えています。
実験住宅は、これまでの解析結果を実物の建物で検証しようとするものです。
竣工後行われる様々な構造実験によって、より実際に即したデータが集められ、地震に強い伝統型木造住宅の構法に更に近づくことができると確信しています。

■伝統型木造住宅の温熱環境性能を知る
実験住宅のもう1つの目的は、温熱環境測定です。
土壁の断熱性能、気密性、室内の空気の流れなど多項目にわたって、連続して測定が行われる予定です。
これまではっきりしていなかった伝統型木造住宅の温熱の性能を知ることで、より住みやすい木造住宅を造るためのデータを得ることができると考えています。

■完成写真 サムネイルをクリックすると大きな画像を表示します。

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撮影:相原功 設計:丹呉明恭建築設計事務所 施工:大工塾

■仕様

名称 :「東洋大学・地域産業共生センター 伝統型木造実験住宅」
所在 :東洋大学工学部川越キャンパス内
設計 :丹呉明恭建築設計事務所・山辺構造設計事務所
施工 :大工塾塾生
床面積:74.36 m2(22.5坪)
    1階 46.27 m2(14.0坪)、2階 28.09 m2(8.5坪)

●主な外部仕上げ
屋根:三州和瓦葺き(提供:愛知県陶器瓦工業組合)
庇 :ガルバリウム鋼板
壁 :1階 木小舞土壁塗り(耐力壁)+南京下見張リ
   2階 木小舞土壁塗り(耐力壁)+ラスモルタル下地漆喰仕上(漆喰提供:東京壁材製造株式会社)
建具:アルミサッシ、木製建具

●主な内部仕上げ
天井:杉4分板相决リ張リ+小屋組現し
壁 :土壁中塗り+漆喰仕上げ・杉4分板相决リ張り
床 :杉5分板捨て張り+杉5分板本実張り


■構造実験

●2007年7月21日 東洋大学による大変形引っ張り実験
2階床面を18cm引っ張って(層間変形角1/15)大変形を与え、各部に働く力の測定と損傷を調べる実験を行ないました。
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8本のワイヤーで引く
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傾いた実験住宅

●8月21日 大工塾による実験住宅の傾きを元に戻す実験
7月の引っ張り実験で、2階の床面で30mm程度の傾きが残りました。(残留変形)
3本の柱に取り付けたサポートをジャッキを使って少しずつ起こして、大地震の後に傾いた住宅を元に戻して使う方法を試してみました。
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●9月3日〜9月15日解体工事を行ないました。
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●2008年1月28日〜2月29日 再築工事
工事が終了しました。
再築した骨組み、屋根、床で再度引っ張り実験を行います。
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※実験住宅は2013年に解体されました。